光には、同じ物質のなかでは直進し、異なる物質に当たるとその面で曲がる性質をもっています。
たとえば、下図のように、光源Aから発散された光は空中を直進し、水面Bで曲げられて入射し、また水中を直進するわけです。
このように、異なる物質に入射する際に曲がる、光の性質を「屈折」といいます。
また、この屈折の度合は、材質によって違い、それを数値で表したものが「屈折率」です。屈折率は、ふつう記号Neを使って表され、空気中(真空中)のNeを1.0としています。

そして、Neの数値が高ければ高いほど屈折の度合が大きくなります。
眼鏡レンズでは、屈折率は"薄さ"に深い関係があります。つまり、Neレンズ面の曲率半径が、大きくても良くなり、薄くすることができるのです。
その結果凹レンズならコバ厚(周辺厚)が、凸レンズの場合は中心厚が薄くなります。
そして、強度レンズに特有の気になる渦巻模様が少なく、よりスッキリした外観を得ることができます。

 

 


比重とは、物質の密度と水(正確には摂氏4度の蒸留水)の比、つまり2つ以上の異なる物質の同体積における重量を比較する際に用いられる数値です。
数値が小さいほど、軽いことになります。ですから、眼鏡レンズのひとつの理想である"薄くて軽いレンズ"とは、言い換えると"高屈折で比重の小さいレンズ"となるわけです。ところが、レンズの素材であるガラスは、屈折率が高くなると比重も大きくなる傾向があるため、薄さばかりを追求すると重くなってしまう結果になります。

また一方のプラスチックの場合は、ガラスよりはるかに比重が小さいのですが、屈折率も低いので厚いレンズになってしまうのです、レンズ素材の開発は、常にこのジレンマとの戦いと言えましょう。